Allo介護の不思議な世界

こんにちは!介護ブログ管理人です。 この記事は介護は難しい、わかりにくい方に向け、初心者でも簡単に紐解いた解説をします。 介護保険は、3年毎に改正されます。この記事を読むと、最新の介護事情や歴史に触れることができます。 とは言え、一体どうしたらいいかが分からない…というあなたのために、一日一つブログをアップし解説したいと思います。 この記事を読み、実践する事であなたも介護の達人になりますよ! ですので、ブックマークをつけて、じっくりと読み進めながら取り組まれてみてください。

ペーパーレス化の非現実

2017/12/31に経済財政諮問会議が行われたが、その中で政府は2015年度に策定した「経済・財政再生計画」の工程表の改定版をまとめた。

介護の関連では、ICTやロボットを積極的に活用してサービスの効率化、生産性の向上を推し進めると説明し、行政が施設・事業所に求めるペーパーワークを2020年代初頭までに半減させるとの目標も明記した。

しかし本年4月からの介護報酬改定の内容を鑑みると、新たに必要となる書類・記録は増えるばかりで、ペーパーワークの半減など現実的なこととは思えない。

例えば運営基準改正では、特養に新たに入所者の病状の急変等に備えるため、あらかじめ配置医師による対応 その他の方法による対応方針を定めなければならないことが義務付けられるため、この書式を新たに作成する必要がある。それは1回きりの作業(見直しは別に必要だが)で終わる問題で、作業負担としてはさほど重くないが、そのほかにも新たに求められる記録は多々ある。

介護保険3施設の身体拘束廃止のに向けた適正化策として、身体的拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際の入所者の心身の状況 並びに緊急やむを得ない理由を記録することが新基準には明記され、さらに身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会を3月に1回以上開催すると ともに、その結果について、介護職員その他の従業者に周知徹底を図ることとされているので、議事録に加え周知の記録も必要となる。

身体的拘束等の適正化のための指針を整備する必要もあり、介護職員その他の従業者に対し、身体的拘束等の適正化のための研修を定期的に実施した記録も求められる。

介護サービスの質評価として、特養と老健に新設された褥瘡の発生予防のための管理に対する加算では、モニタリング指標という指定書式で評価を定期的に行わねばならなくなった。ここの作業負担は増えることになる。

特養・老健介護療養型医療施設・介護医療院に共通する排泄にかかる機能を向上させる取組に対する評価加算では、要介護認定調査の「排尿」または「排便」の項目が「全介助」から「一部介助」以上に、または「一部介助」から「見守り等」以上に改善するための計画が求められるのだから、単に現在実施している排泄の方法を計画に落とすだけではなく、その状態を改善する方法を計画に落とし込んで、改善方法としてプランニングしている方法の実施状況を記録しておかねばならず、その評価記録も定期的に必要となる。

特養の現行より高い額の看取り介護加算や、入所者の医療ニーズへの対応の新加算は、入所者に対する緊急時の注意事項や病状等についての情報共有の方法及び曜日や時間帯ごとの医師との連絡方法や診察を依頼するタイミングなどについて、医師と施設の間で、具体的な取り 決めがなされていることを証明する契約書等を作成しなければならないだけではなく、実際に医師が早朝・夜間又は深夜に施設を訪問し、診療を行う必要があった理由を記録しなければならない。

通所リハビリでも、リハビリテーションマネジメント加算の新算定要件として、医師の詳細な指示について、リハビリテーションの目的及びリハビリテーション開始前の留意事項、リハビリテーション中の留意事項、中止基準、リハビリテーションにおける負荷量等のうち1つの計2つ以上の事項を加算算定利用者全員に記録しておかねばならなくなる。

通所介護の心身機能の維持に係るアウトカム評価加算については、Barthel Indexによる評価が求められるので、これに関する一連の記録は必須となる。

このようにざっと書き出しただけで、すごい量の記録が増大することがわかる。つまり来年度からの報酬改定・基準改正においては、記録の削減という視点は皆無で、むしろ記録は増大しているのである。これらを2021年度以降に半減することが本当にできるだろうか。そもそも半減とは、どの時点との比較なのだろうか?

それらのことを考えると、記録の半減は掛け声だけの幻で終わる可能性が極めて高いと思え、このことに関係者はあまり期待を寄せないほうが良いのではないだろうか。

どちらにしてもペーパーワークに時間を削られ、人手の少ない現場の疲弊がさらに助長されるという状況に、まったく対策されないまま、人員枯渇はさらに進んでいくのだから、介護従事者にとってわずかばかりの給与引き上げは、労働対価に見合ったものとは言えないだろう。