Allo介護の不思議な世界

こんにちは!介護ブログ管理人です。 この記事は介護は難しい、わかりにくい方に向け、初心者でも簡単に紐解いた解説をします。 介護保険は、3年毎に改正されます。この記事を読むと、最新の介護事情や歴史に触れることができます。 とは言え、一体どうしたらいいかが分からない…というあなたのために、一日一つブログをアップし解説したいと思います。 この記事を読み、実践する事であなたも介護の達人になりますよ! ですので、ブックマークをつけて、じっくりと読み進めながら取り組まれてみてください。

食べる喜びとは


施設長や一部の職員の価値観ですべての物事が決まってしまうような場所では、利用者が主役という考え方はまったく形骸化してしまって、人の生き方にかかわる物事までサービス提供側が決められると思い込んでいるのではないかと疑わしくなることが大いにある。



常に気をつけていなければならないことは、私たちは絶対権力者ではない。



栄養ケアマネジメントが介護報酬上の評価になり、低栄養リスクに対する取り組みが盛んに注目されるようになった。



低栄養を確認する数値はBMIのほか、血清アルブミン値が使われる。



ところでアルブミン値が低いということは、何もカロリー摂取量が足りていない、という意味ではなく、低蛋白の状態を示しているのだから、いかにバランスよく、適切に食事提供できるか、ということが主眼になるはずだ。



そうすると、単にアルブミン値を上げる食事、ということに偏らず、副食全体について工夫の余地はないか考える視点があっても良いのだが、どうも栄養ケアマネジメントに取り組む施設の発表などを聞くと、アルブミン値を上げるためにプロティンを提供する、プロティンは値がはるが、低栄養を改善することで入院率が減少し、結果的に運営費用のコストダウンになる、という内容のものが多い。



少し違和感がある。



低栄養を改善する視点は重要だが、食事は本来もっと楽しみとして考えられて良いものだ。まずいものを毎日義務のように体に流し込まれて栄養改善といっても、それが本当に高齢者自身のためになっているのだろうか。



もちろん補助食品自体を否定するものではないが、栄養ケアマネジメントが目指すものが数値の改善ではなく、豊かな生活であるという視点を忘れないでいてほしい。



食事は「餌」ではないとよく言うが、同時に「サプリメント」にしてしまっても困るのだ。



肉が食べられない利用者に、魚など別の副食を用意することを「わがまま」と否定する栄養士もいる。その人の好みに合わせて献立を変えていたら、皆が同じように好みを言い出しきりがない、というのも理由のひとつだ。



しかし長年、肉を食べずに生きてきた高齢者に、70や80にもなって好き嫌いをなくせ、というのは無理だ。結局、肉の献立には箸をつけず、他の副菜と味噌汁と漬物のみの食事になってしまうではないか。これこそ低栄養リスクだ。



では治療食で別メニューを出している人はどうなんだ、といえば「治療やアレルギーなど本人の好みではないものは仕方ない」という。



好みが作られるのも人生。



ある方は、子供時代に友人の親が働く食肉処理場で牛が屠殺される場面を見てから肉を一切受け付けなくなった。



ある方は、小児麻痺をわずらい小学生から寝たきりになった。そのとき親が娘の拝復を願い、好きなお茶を絶ったことを知って、子供心に「私も何かを我慢しよう」として肉を食べなくなった。その習慣が長い人生で身についてしまった。



そんな理由をすべて聞き出して、わがままかどうかを判定するなんてナンセンスだ。



そもそも食の好みは単純な「わがまま」とは言えないのだ。



肉や魚にそれぞれ好みをもつ方がいても、我慢させるのではなく、いかにその方に喜ばれて楽しく食べていただけるか、それが本来の栄養士の専門家としての仕事だ。



幸い最近はバイキング食を日常化している施設も多いし、複数食は当たり前に取り入れられている。



これからは「うまい、まずい」をあまり意思表示できない方、特に嚥下困難で極小の刻み食やミキサー食を摂られている方の食事の提供が課題だ。



なんといっても食べる喜びを持っていただけることが最高の低栄養リスクマネジメントではないかと思う。