セクハラは想定外?介護業界に蔓延する非常識
ハラスメントが減らない背景には理由があります。
介護現場におけるハラスメントについて、業界では「想定外の出来事」とする空気があるといいます。
介護職にはそれぞれ資格が必要ですが、取得のために受ける講義や研修のカリキュラムの中に『ハラスメントへの対応』といった項目はありません。だから、介護職員は現場でわが身にそれが振りかかって、ショックを受けます。どう対応すべきかもわからず、ますます困惑するのです。
しかし、7割以上がハラスメントを経験していると公表がある以上、「想定外」として片づけることはできないはずです。介護職員の多くは女性です。とくに在宅介護のヘルパーは利用者の家を訪問し、“密室”で利用者のケアをすることになります。重大なハラスメントのリスクが高い環境に身を置いているのです。
ただし、各種の介護サービスをする業者も現場に駆け付ける介護スタッフも、利用者はいわば顧客です。他の業者との競争もあります。そのため、利用者からのクレームを恐れる傾向が強く、少々のトラブルは穏便に済ませようというのです。
冷静に見れば、介護現場のハラスメントは、もし一般社会で行われたら犯罪とみなされてもおかしくない行為と思いませんか?
確かに街中で暴力を振るったり男性が女性の身体を触ったりしたら、警察に逮捕されます。相手が要介護者だから、認知症だからといって許されるのはおかしな話ですし、何より介護職員の心や身体も守られなければならない。