Allo介護の不思議な世界

こんにちは!介護ブログ管理人です。 この記事は介護は難しい、わかりにくい方に向け、初心者でも簡単に紐解いた解説をします。 介護保険は、3年毎に改正されます。この記事を読むと、最新の介護事情や歴史に触れることができます。 とは言え、一体どうしたらいいかが分からない…というあなたのために、一日一つブログをアップし解説したいと思います。 この記事を読み、実践する事であなたも介護の達人になりますよ! ですので、ブックマークをつけて、じっくりと読み進めながら取り組まれてみてください。

介護は異常な世界


全国的に介護人材の劣化が進んでおり、介護職の人材不足は、本当に深刻だ。



2025年には1947年~49年生まれの団塊の世代が75歳を迎え、人口に対する高齢化の率が現在の12%から30.5%までに膨れ上がるという超高齢化社会となる。現在240万人が従事する介護関係職を、350万人まで増やさないと破綻すると言われており、国をあげて介護職を増やすことに取り組んでいる。



しかし、この「介護2025年問題」は解決する気配すらない。



介護関係職の有効求人倍率は全国平均で2倍を超え、東京都で4.34倍、愛知県で3.96倍、大阪府で2.77倍と目を覆うような状態だ。これから急速な高齢化が進む大都市圏で、特に人材不足が顕著となっている。



介護は常時人手不足、低賃金、重労働、ブラック労働まみれ、人材の異常劣化、子が親を捨てる姥捨て山化など、負の要素が複雑に絡まりすぎた異常な世界です。



人材の確保に苦戦しているが、2011年の震災以降が特にひどい。求人広告を出しても誰も来ないのが普通、たまに応募があったとしても精神疾患を抱えていたり、読み書きができなかったり、著しく常識がなかったり。普通の人だと思って採用しても窃盗するなど、健康な普通の人を採用するのは非常に困難な状況にある。


介護職員の著しい人材劣化によってトラブルの絶えない状況に追い込まれているのが全国的な傾向だ。



人手不足のおそろしさは、「現場がまわらない」という目先のことだけではない。今日、明日を乗り切るために介護職の敷居を低くしたことで、質の劣化が起こる。さらに国の雇用政策が介護に絡んだことで悪夢に拍車をかけた。



そして介護は破壊された。



世界金融危機のあった2009年に、厚生労働省は失業者を対象とした「重点分野雇用創造事業」を行い、失業者や果てはホームレスまで介護職に送り込むプロジェクトを大々的に繰り広げた。



希望者の全入職だけではとどまらず、人材不足の介護が雇用政策に利用されたことで、介護という職業は生活保護の代替となり、介護現場は完全に破壊された。



さらに、離職率の高さも問題となっている。3年で半数以上、5年でほぼすべての職員が辞める。しかも介護から逃げるのは、問題を抱える人物ではなく、介護を辞めても他に転職先があるまともな人々たち。



長く介護福祉を支えてきたベテランや、高齢化社会に対して意識がある人たちが、荒廃する介護現場の現実に絶望し、嫌気がさして辞めてしまう。人材と介護の質の劣化は止まることがなく負のスパイラルに陥っている。



「介護報酬の引き下げがトドメです。我慢するか辞めるか、ずっと迷っていたけど、もう、どうにもならない」



介護職の低賃金は社会問題とされているので、知っている人も多いと思う。介護保険が施行されてから現在まで “安い・低い” と叫ばれ続ける中、2015年4月に介護報酬が大幅に引き下げられた。これは審議会で議論が繰り返され、国会にも取り上げられて、社会全体で問題が共有された状況で出された結論である。



これまで介護職は、普通に働いても生活ができない貧困状態だったが、これからはさらなる困窮に陥る。これまでの「生かさず殺さず」から「最低限生存できる程度まで下げよう」というメッセージが国から送られてしまったのだ。



介護職に対しては、まだまだ善良で優しい人材をイメージする人が大半だろう。しかし現実はその逆だ。彼らは「経済的貧困」と「関係性の貧困」をダブルで抱える社会的弱者だ。止まらない人材の質の低下が重なって、現在の介護現場は温かさどころか、常に根深い不満が渦巻いている。



自分が貧しい弱者なのに、他人である高齢者に笑顔で「豊かな老後」を提供できるはずがない。現在の介護現場は、心に余裕のない貧しい者たちがいがみ合い、罵り合い、奪い合い、弱者イジメが蔓延する絶望的な風景が日常となっている。



前のはなしですが、「Sアミーユ」の事件は起こるべくして起こったこと。


2014年、神奈川県川崎市の有料老人ホーム「Sアミーユ川崎幸町」(株式会社積和サポートシステムズ)で、86歳~96歳の入居者3名が相次いでベランダから転落死した衝撃の事件が報道され、2016年2月15日、3人が転落したすべての日に夜勤を担当した23歳の男性職員が殺害を認めた。



この男性職員は他の入居者女性から財布を盗んだとして逮捕され、懲戒解雇されていた人物だ。施設ではこの事件の他にも、複数の介護職員の暴力や暴言、日常的な虐待が表面化しており、川崎市から3ヵ月間の行政処分を受けている。



負の連鎖が吹き荒れる中で、介護報酬減が実行され、介護職たちは生涯貧困に近い貧しい生活を余儀なくされる。介護は現場で働く「人」がすべてである。限度を超えた人材の質の低下で、今、介護という社会保障は、本当に危険な状態になっている。



将来日本の高齢者の9割が生活保護水準の生活となる“下流老人”、非正規雇用の蔓延で実家から離れられない現役世代(35歳~44歳)が305万人に膨れあがり、親子共々で経済的貧困に陥る“老後破産”など、これからの老後と社会保障が大きな話題だが、今、本当にヤバイのは「介護崩壊」なのである。



要介護高齢者たちが「いつ殺されるかわからない」という危険な最終段階に突入する前に、いい加減に「崩壊する介護現場」の現実を見つめることが必要と思う。