2019次期報酬改定
次期報酬改定
3年ごとに行われる介護報酬の定期的な改定を指したもので、具体的には2021年4月の介護報酬改定という意味。3年後の報酬改定の方向性等を、次期改正はどうなるのか。
2018年4月の報酬改定の次の改定は、介護報酬も診療報酬も2019年秋10月を目途に行われることになっている。
それは消費税が8%~10%に引き上げることに伴うもので、政府はリーマンショック並みの経済危機が訪れない限り、消費税の増税を実施する方針なので、そのことに対応した介護報酬と診療報酬の改定も、ほぼ行われることが確実になっている。
それは消費税率が5%から8%になった前回の2014年4月にも行われており、その時の手法を踏襲するとすれば、事業者の消費税支出分を基本サービス費に上乗せすることが主となり、それによって利用者のサービス利用量が減らさざるを得なくなるような状況に陥らないように、区分支給限度額も同時に見直され、引き上げられることになる。
一部メディアが新しい報酬額を「介護事業経営実態調査(2017年度)の結果などから割り出す」と報道しているが、ずいぶん誤解を与える報道である。
3年ごとに定期的に行われる介護報酬改定では、改定の前年度に公表される「介護事業経営実態調査」の結果を参考に基本サービス費が見直される。つまり改定する前々年度の各サービス事業種別全体平均の平均収支率がその基礎的数値になって、儲け過ぎであるとみなされた事業種別の報酬単価を引き下げて、収支差率の低い事業種別にその分を回すなど操作が行われる。
しかし来秋の改定ではそこまでの見直しは行われない。「介護事業経営実態調査(2017年度)」の結果としてみるものは、事業者の消費税支出がいくら増税によって増えるかという根拠データが中心になり、収差率を根拠にした基本サービス費の増減は基本的に行うことはない。そもそも今年度の報酬改定前の2017年度の収支差率など、全く根拠として意味のないものだから、それによる基本サービス費の増減はあり得ない。
よって来秋の改定で、自立支援介護といわれる新しい加算が新設されたり、現在の報酬加算の算定ルールが見直されることもない。つまり事業者の収益の増減にはあまり関係のない報酬改定といえる。
しかしこのことは2021年の報酬改定には少なからず影響を与える改定となる。つまり2019年秋の改定は事業者の消費税支出増の分を補う意味であっても、それはプラス改定であることに変わりはなく、国としては今年4月の介護報酬の引き上げに続いて、2年続けて介護報酬を引き上げたという実績とアリバイ作りになる。
このことにより国民に対して政府は、財政事情が厳しくても社会保障もしっかりカバーしながら政治を執り行っているというアピールになる。そんな中で骨太の方針では、毎年5000億円の社会保障費増さえも認めない新たな方針を示している。
ということは・・・2018年度と2019年度の2年続けて介護報酬を引き上げたのだから、それぞれ単独改定となる2020年度の診療報酬改定と、2021年度の介護報酬改定では、3回連続引き上げとすることが、その時の社会情勢の中で許されるのかという厳しい見方にならざるを得ない。
事業者の収益につながらない来秋の報酬改定が、定時見直しの報酬設定の際に、引き上げの足かせになる。