自由からの逃走
1つは、経営者が思うように、人は自由にすれば自律的に動くわけではないということです。
心理学者エリッヒ・フロムの古典的著作『自由からの逃走』ではありませんが、人は自由になりたいと願うくせに、本当に自由になると何をしてよいかわからなくなってしまうことも多いのです。ある程度スキルがあり、成熟している人材以外にとっては、「自由にしていいよ」という言葉は「脅迫」です。極端ですが「奴隷の自由」という言葉すらあります。
ですから、大半の人にとっては、「こうしてほしい」とオーダーされるほうが本当はマシですし、実際に成果も出るのです。
若い組織に急にインセンティブ制度を導入すると、動きが止まってしまう可能性があります。むしろ、インセンティブ制度ではなく、マニュアル化や仕組み化を優先し、社員には具体的な行動を指示し、安定的な報酬を支払うほうがいいかもしれません。