介護事業者の給与実態について
介護事業者の職員の平均給与は、他産業のそれより下回っていると言われる。しかし、本当にそうだろうか。
平均給与のデータの抽出方法もいろいろで、資料によっては介護事業者の職員のそれは、他産業平均と変わらず、女性だけを取り上げればすでに他産業平均を上回っているとしているものもある。どのデータ、どの資料をピックアップするかによって、結果はかなり違ったものになる。
もちろん、介護事業者の中には、地域密着型通所介護を1事業所だけ経営している母体とか、グループホーム2ユニットのみを経営している母体とか、小規模経営事業主体も多い。そういうスケールメリットが全く働かない事業主体が、規模の大きな法人と同じだけの職員待遇にできるわけがなく、給与水準が他産業平均を大きく下回る事業者が存在することは事実である。
しかし措置制度時代から経営を続けている社会福祉法人などの職員待遇は、もともと国家公務員準拠の給料表に基づいていたし、介護保険制度以後、その給料表を見直したとしても、極端にその額が下がることはないことに加え、介護職員処遇改善加算によって、介護職員の給与は他産業に比べて低くなっているわけがない。
介護事業者の規模が大きくになるほど、職員待遇は向上する傾向にあり、他産業の平均給与ベースより高くなっているところも少なくない。
しかも今年令和元年10月からの特定処遇改善加算によって、この傾向にはさらに拍車がかかり、介護職員の給与は全産業平均とそん色ないというより、上回るという状況も珍しくなくなってくると思う。