リハビリのサクセスストーリー長嶋前監督からみる、リハビリの目標は生活の再構築について
リハビリの目標は、生活の再構築ということを覚えてほしいと思います。
不自由な身体になると、自立のために、リハビリテーションを行うことになりますが、このリハビリについても、一般的に、かなりの誤解と錯覚があります。
早期ならある程度元に戻ることはありますが、一年以上もたってしまいますと、大抵固定して、それ以上の改善は無理なことが多いです。
わたしは、今まで一年以上たって固定してしまって、リハビリで良くなられた利用者を1人も見たことがありません。
リハビリで良くなったと言われ、リハビリのサクセスストーリーの代名詞のように言われる、元巨人軍の長嶋茂雄氏は、私はそうは思いません。
長嶋氏が驚異的に回復されたというのは10%のリハビリと、90%の自然治癒力の賜物だったのです。
長嶋氏は確かにリハビリを頑張られてある程度改善されましたが、一年後ぐらい以降は症状が固定してしまって、それ以上のリハビリの効果は見られませんでした。
要は、リハビリの効果はそんなになかったし、驚異的な自然治癒力があったのです。
長嶋氏に限らず、誰でもリハビリである程度回復するのは、自然治癒力が殆どで、リハビリは限界があるんです。
リハビリに限らず、あらゆる病気も自然治癒力に医師は手を貸してるだけではないですか。
5年も6年もたっているのに、以前の状態に戻りたいと、懸命に頑張っている利用者をよく見かけます。
諦めきれないでしょうが、ある時点で、いくらリハビリしてもこれ以上の改善は無理、これ以上は良くならないと、諦める、つまり、はっきりさせなくてはいけないのです。
わたしは思うのです、なくなった能力や機能を、もう一度取り戻そうという努力は無駄と考え、昔とは決別して、残された機能のフル活用を心がけて欲しいということを。
闘病のエネルギーを、人生の充実に振り向けてほしいのです。
リハビリの目標とするところは、なくなった能力を元の状態に戻すことではなく、残された能力を十二分に活用することです。
右手が障害されているなら、左手を使うことによって、障害者としての生活が再構築できるのです。
諦める、断念する、これ以上は駄目と諦める、それを明らかにすることから、新しい人生が始まります。