感染症の対策について《ノロウイルス》
管内の保健所の感染情報は、毎日チェックが必要だ。
集団感染が発生すると、利用者の健康被害に直結するだけではなく、施設経営上のリスクにもつながりかねない。空きベッドが生ずるのは痛い。しかし集団感染が発生すれば、新規入所も停まるし、なによりショートステイの受け入れもできなくなり、収入減となるからである。そのため感染予防対策は、経営リスクを減らすためにも万全の対策が求められる。
日常的に行う感染予防対策は、特別なことではない。よく言われるように、手洗いとうがいの励行が大事である。しかしこれも掛け声だけで、アリバイ作りのようにおざなりになっては、いつウイルスが侵入する隙になるかわからない。手洗いは、手を濡らせばよいというものではないので、しっかりウイルスを落とすことができる定められた方法で、丁寧に十分な時間をかけて行うことが必要となる。
また職員自身あるいは家族に、感染の疑いのある症状が少しでも出た場合、無理して出勤せず、「休む勇気」が求められる。きちんと受診して、ウイルス感染していないことが確認されてから出勤しないと、自らが感染源になってしまう恐れがあることを自覚してほしいところである。
感染者の吐物から空気中にウイルスが飛散し、おう吐した人がいたら、速やかに対応して空気中へのウイルス拡散を防ぐという対応が求められる。そのため施設内には、いたるところに嘔吐に対応する物品をまとめたセットが置いてある。この中には、吐物にスプレーしてウイルス拡散を防ぎ、消毒する製品も含まれている。
感染予防対策には、それなりの費用もかかるが、感染拡大した場合の対応費と比べると、それは低い額で収まるので、この部分には必要経費を惜しまないことが重要である。
おう吐する人がいた場合は、基本的にすべてノロウイルスの疑いを持って対応することになる。その中には、ノロウイルスの症状とは少し違うのではないかと思われるおう吐もあるが、万が一に備えた対応をしておかねば、もしもの場合、感染は一気に狭い施設内に広がってしまう。
そうした時期は、出来るだけ外部の会議や研修への参加は自粛するのが本来ではないだろうかと思う。他施設や他事業所の感染源に自分がなってしまったらどのように責任を取るのだろう。ふとそのようなことを考えてみた。
高齢者が感染して体調を悪化させた場合、それはその方のその後の人生に影響を与えるほどの機能低下の原因にもなりかねない。
そういう意味でも、万全に万全を積み重ねた対応を心がけてほしいと思う。