インフルエンザが、流行する季節になりました
介護施設は、冬の間24時間暖房を行っている状態で、空気が乾燥しているために、一人でも感染者が出た場合に、施設内に一気に感染が広がってしまうことがある。
利用者の間に感染が広がって、体調を崩す人が続出することが一番の問題であるが、利用者から職員に感染が広がった場合、急に勤務ができなくなる職員が出てくることも必然で、代替する職員を探す緊急対応が続出して、勤務シフトが乱れに乱れて、必要な職員の配置が困難になることすらある。
感染した利用者への対応は、通常業務より多くの労務負担を生じさせるにも関わらず、対応できる職員の数が減り、それが長期間に及ぶのは施設運営にとって相当のダメージとなる。
そのため感染者を出さないことが何より求められる対応で、それにもかかわらず感染者が出た場合は、一刻も早い隔離対応など、感染が広がらないように最大の注意が払われているのが今からの時期である。
当然のことながら、職員の家族の中で罹患者が出た場合や、職員自身の体調に不調があり感染が疑われる場合などは、決して無理して出勤せず、外から感染を持ち込む媒体にならないように注意も払われていた。
外から感染症を持ち込まないという意味では、ショートステイやデーサービスなどの利用者についても、インフルエンザに罹患するなどした場合は、その間の利用をお断りして、自宅で体調回復のための療養に努めていただくという対応が、当然のことのようにとられている。
在宅系事業所の対応をみると、感染している利用者に対する訪問介護ついては、複数の利用者に対応する訪問介護員が、他の利用者に感染させる媒体となり得るという「正当な理由」で、サービス提供を拒否するケースが多々見られた。それを特段、問題視することもなかったのが実状である。
その間は介護サービスではなく、外来通院を中心とした医療対応が求められる時期であるという認識である。
しかしこのことは利用者の側から考えると、ずいぶん冷たい対応に感じるのかもしれない。インフルエンザやノロウイルスに感染した在宅生活者は、感染症が治癒するまで自宅に引きこもって、どこからの支援も受けられないというでは、生活に支障をきたす場合もあるだろう。
特にインフォーマルな支援者がいない一人暮らしの人は、担当ケアマネジャーや居宅サービス事業者の支援は、「命の綱」といえなくもない。しかし同時に、治療対応が優先される時期に、他の利用者の感染媒介となりかねないリスクを犯してまで、治療対応ができないケアマネジャーや介護サービス従事者が、感染者に直接会って対応しなければならないのかという疑問も生ずる。このことは決して簡単に答えを出せる問題ではないだろう。
あなたは、どう思いますか?