Allo介護の不思議な世界

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【長期・短期目標】が必要な計画、必要のない計画と根拠

施設サービスに関わっているケアマネジャーの方で、同時にショートステイの計画作成に携わっていたり、併設のデイサービスの計画担当者に移動したりする人がいる。



それらの人達に「ショートやデイなどの居宅サービス事業に関する計画書については、福祉系サービス、医療系サービスに関係なく目標を長・短期に分ける必要はないんですよ。」と言いたい!




結論から先に言えば、サービス計画書(ケアプラン)の目標を長・短期目標に分けて設定せねばならないのは、居宅介護支援事業所の介護支援専門員が立案する「居宅サービス計画」と、介護保険3施設の介護支援専門員が立案する「施設サービス計画」のみである。



訪問介護、訪問看護、通所サービス、ショートステイ等の「居宅サービス事業所」が個別に立案する計画(ケアプラン)の目標は長・短期に分ける必要はない。



その根拠は何かといえば、前者は目標を長・短期に分け、その達成期間を定めねばならないという法令上の規定があるが、後者については目標を立てておればよいという法令上の規定しかなく、なおかつ目標の達成期間も計画書に盛り込む必要もないとされている。



もちろん後者のケアプランに盛り込む目標を「長・短期に分けてはいけない」という意味ではなく、あくまで法令上は長・短期に分ける必要も、目標の達成期間も盛り込む必要はないという意味である。



ここで少し根拠となる法令を具体的に見てみよう。



まず居宅介護支援事業所の介護支援専門員(ケアマネジャー)が立案する「居宅サービス計画」は基準省令、「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」(平成十一年三月三十一日厚生省令第三十八号)では、



第十三条八  介護支援専門員は、利用者の希望及び利用者についてのアセスメントの結果に基づき、利用者の家族の希望及び当該地域における指定居宅サービス等が提供される体制を勘案して、当該アセスメントにより把握された解決すべき課題に対応するための最も適切なサービスの組合せについて検討し、利用者及びその家族の生活に対する意向、総合的な援助の方針、生活全般の解決すべき課題、提供されるサービスの目標及びその達成時期、サービスの種類、内容及び利用料並びにサービスを提供する上での留意事項等を記載した居宅サービス計画の原案を作成しなければならない。



↑以上のように示されているだけで、ここでは「提供されるサービスの目標及びその達成時期」とされているだけで、達成時期を計画に盛り込む必要はあるものの、目標を長・短期に分ける規定はない。



しかし解釈通知を読むと
老企22号[8] 居宅サービス計画原案の作成(第八号)
当該居宅サービス計画原案には、利用者及びその家族の生活に対する意向及び総合的な援助の方針並びに生活全般の解決すべき課題を記載した上で、提供されるサービスについて、その長期的な目標及びそれを達成するための短期的な目標並びにそれらの達成時期等を明確に盛り込み、当該達成時期には居宅サービス計画及び各指定居宅サービス等の評価を行い得るようにすることが重要である。



以上のように目標は長・短期目標に分けて両方の設定を行う義務を課していることが分かる。



同じように「施設サービス計画」については基準省令、「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」(平成十一年三月三十一日厚生省令第三十九号)では、



第十二条5  計画担当介護支援専門員は、入所者の希望及び入所者についてのアセスメントの結果に基づき、入所者の家族の希望を勘案して、入所者及びその家族の生活に対する意向、総合的な援助の方針、生活全般の解決すべき課題、指定介護福祉施設サービスの目標及びその達成時期、指定介護福祉施設サービスの内容、指定介護福祉施設サービスを提供する上での留意事項等を記載した施設サービス計画の原案を作成しなければならない。



とされているだけだが、解釈通知老企43号
5)施設サービス計画原案の作成(第5項)
「~当該施設サービス計画原案には、入所者及びその家族の生活に対する意向及び総合的な援助の方針並びに生活全般の解決すべき課題に加え、各種サービス(機能訓練、看護、介護、食事等)に係る目標を具体的に設定し記載する必要がある。さらに提供される施設サービスについて、その長期的な目標及びそれを達成する為の短期的な目標並びにそれらの達成時期等を明確に盛り込み、当該達成時期には施設サービス計画及び提供したサービスの評価を行い得るようにすることが重要である。~」



というふうに長・短期目標の両方が必要であることを規定している。



それに基づいて老企29号「介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示について」において目標を長・短期に分けたケアプラン標準様式が示されている。



なお老企29号では「緊急対応が必要になった場合には、-時的にサービスは大きく変動するが、目標として確定しなければ短期目標を設定せず、緊急対応が落ち着いた段階で、再度、長期目標・短期目標の見直しを行い記載する。」というふうに一時的に短期目標がない計画は認めているところであるが、あくまでこれは一時的な特例であると解釈されるものである。



一方、居宅介護支援事業所の介護支援専門員(ケアマネジャー)が立案する「居宅サービス計画」に位置づけられた各サービス(訪問介護や訪問看護などの訪問サービス、通所サービスやショートステイなど)については基準省令にも解釈通知にも目標を長・短期に分ける規定は存在しない。



例えば指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成十一年三月三十一日厚生省令第三十七号)の通所介護の箇所をみると



(通所介護計画の作成)
第九十九条  指定通所介護事業所の管理者は、利用者の心身の状況、希望及びその置かれている環境を踏まえて、機能訓練等の目標、当該目標を達成するための具体的なサービスの内容等を記載した通所介護計画を作成しなければならない。



とされているだけで、解釈通知老企25号にも「目標、当該目標を達成するための具体的なサービスの内容」を記した計画の同意に基づきサービス提供できるものとしている。



老企25号解釈通知の訪問介護と訪問看護を例に挙げれば
老企第25号
(13)訪問介護計画の作成
① 居宅基準第24条第1項は、サービス提供責任者は、訪問介護計画を作成しなければならないこととしたものである。訪問介護計画の作成に当たっては、利用者の状況を把握・分析し、訪問介護の提供によって解決すべき問題状況を明らかにし(アセスメント)、これに基づき、援助の方向性や目標を明確にし、担当する訪問介護員等が提供するサービスの具体的内容、所要時間、日程等を明らかにするものとする。なお、訪問介護計画の様式については、各事業所ごとに定めるもので差し支えない。



(6)訪問看護計画書及び訪問看護報告書の作成
②「訪問看護計画書には、利用者の希望、主治医の指示及び看護目標、具体的なサービス内容等を記載する。」



↑このように目標が掲げられておれば良いだけで、目標の達成時期も示す必要がない事がわかる。そしてこれらの各サービス事業所の計画には老企29号で示されているような標準様式も存在しておらず、各事業者ごとに独自に計画書様式を作って良いものである。



そもそもショートステイは何らかの事情で1度限りの利用ということもあり得るサービスで、この場合でも4日以上の利用の場合は「短期入所(生活介護または療養介護)計画(ケアプラン)」が必要になるが、この場合目標を長・短期に分ける意味はない。



他の居宅サービスにしても、居宅介護支援事業所の居宅サービス計画が立案されている場合は、それに沿って立案することになっているので、利用者のよりよい暮らしを守る総合的援助方針を達成するために、「生活全般の解決すべき課題(ニーズ)」解決のための目標は、居宅サービス計画に於いて長・短期目標に分けて設定されているので、それに沿うとは、その総合的援助方針を達成するための課題解決のために各事業所サービスが位置づけられたという意味だから、居宅サービス計画の長・短期目標を達成するための各事業所計画は「目標1」「目標2」という形で問題ないわけである。いやむしろその方が利用者も家族も、サービス担当者も分かりやすい場合が多いのである。



よって各居宅サービス事業の計画担当者の方は、目標を長・短期に必ずしも分ける必要はないというこの規定を充分理解した上で、計画作成に当たってもらいたい。



最後に当施設併設のショートとデイサービスの計画書の目標について、居宅サービス計画書との観点で具体例を図で示してみた。


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