Allo介護の不思議な世界

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完全なる給付制限、次期制度改正に向けた厚労省の一般介護予防事業等の推進方策に関する検討会について

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27日に、厚生労働省が「一般介護予防事業等の推進方策に関する検討会」の初会合を開いた。この検討会は、それぞれの地域の住民が主体で実施する、体操教室や茶話会といった「通いの場」の運営の支援などを中心とした、市町村の一般介護予防事業の推進策を検討する場である。



初回は効果的な取り組みを進めるための、専門職の関与の仕方や事業の指標・評価方法などが論点として提示されたが、今後は介護予防の効果的な取り組みが検討されることになっており、年内に議論の結果を取りまとめて社会保障審議会介護保険部会に報告し、2021年度の介護保険制度改正へ反映させるとされている。



その主議題が「通いの場」の運営支援だという。それがどのように次期制度改正に反映されるというのだろう。



このことを考えるうえで参考になるのが、先に示された、「経済財政運営と改革の基本方針2019」原案~骨太の方針~である。



介護インセンティブ交付金(保険者機能強化推進交付金)という部分では、次のような考え方が示されている。



先進自治体の介護予防モデルの横展開を進めるために保険者と都道府県のインセンティブを高めることが必要であり、公的保険制度における介護予防の位置づけを高めるため、介護インセンティブ交付金の抜本的な強化を図る。同時に、介護予防等に資する取組を評価し、
(a)介護予防について、運動など高齢者の心身の活性化につながる民間サ ービスも活用し、地域の高齢者が集まり交流する通いの場の拡大・充実、ポイントの活用といった点について、
(b)高齢者就労・活躍促進について、高齢者の介護助手への参加人数、ボランティアや介護助手へのポイント付与といった点について、交付金の配分基準のメリハリを強化する。



このように(a)で、地域の高齢者が集まり交流する「通いの場」の拡大・充実が取り上げられている。これと市町村に支給されるインセンティブ交付金を関連づけて、「メリハリを強化」すると書かれている。つまりこの「通いの場」を拡充・充実させない市町村には、インセンティブ交付金は渡さないという意味にとれる。



通いの場という言葉があるのだから、当然通所介護の関係者は、この議論に注目しなければならない。



というよりこれは明らかに、要介護1と2の利用者の、通所介護からの切り離しを視野に入れた検討である。



なかなか広がらない介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)における、通所型サービスA(緩和した基準によるサービス)や、通所型サービスB(住民主体によるサービス)の場を、市町村がもっと積極的に支援して作りなさいという意味である。



とはいってもほとんど前に進まない市町村が多いことから、市町村がぜひとも手に入れたいインセンティブ交付金を餌にしたというわけである。



このように市町村への報酬金制度の見直しを、通いの場の拡充支援と絡めることによって、市町村が高齢者が集うサロン造りの支援を行うという意味である。



そのサロンとは市町村が行う介護予防の目的を果たすサロンであり、そこに元気高齢者が集まることができるようにし、それらの人々が介護給付の通所介護を利用する必要がないようにすることを目的にしている。



そして要介護2までの人は、元気高齢者として介護予防の対象に入れてしまおうとするもので、2021年の報酬改定・制度改定時には、通所介護の対象者が要介護3以上の人に限定される可能性があることを示している。これは先に財政制度分科会資料で示された給付抑制策と完全に一致する内容だ。



通所介護事業経営者の方は、要介護2までの利用者が介護給付から外れて、自分の経営する事業所を使えなくなったとき、現在の事業を継続できるだろうか。それを見据えて事業戦略立て直しできるのだろうか。



現在市町村の総合事業としての通所介護を受託している事業所は、そこからも利用者が、通所型サービスAもしくはBに流出する可能性が高いことも併せて指摘しておきたい。



それはなかなか厳しいことだろうと思うが、内閣も財務省も厚労省も、同じ方向に向かった検討・議論を進めている以上、通所介護はその方向に向かう可能性が高いという覚悟で、今後の事業経営を考えていかなければならない。



特に重度者へのシフトという方向が可能となるように、そこに向かった顧客確保の戦略とともに、それに対応する職員のスキルアップを同時に考えていく必要があるだろう。そしてできるだけ早く、要介護3以上の利用者数を増やしていかねばならない。



なぜなら要介護3以上の要介護者で、通所介護を利用している人はそう多くはないからだ。今のうちにそういう方々を顧客として確保していかないと、いざ通所介護利用が要介護3以上に限定された際に、顧客が全くいないということになりかねない。この部分は特養の入所要件が、原則要介護3以上になった際とは状況が大きく異なり、顧客がいないために倒産せざるを得ないという混乱が広がる可能性が高い。



そういう意味も含めて考えると、この給付制限が実現した場合、現在営業している通所介護事業所のうち、過半数を超える事業所の経営が困難になると予測する。非常に厳しい現実の中で、事業撤退か事業転換が迫られる事業主体も多くなるのではないだろうかと思う。