看取り・看取るとは
介護施設におけるターミナルケアの取り組みが、報酬として評価されるようになったのは2006年(平成18年)4月の報酬改定からである。そのときに特養の加算報酬として、「看取り介護加算」が新設された。
この加算を創設する際に、医療系サービスで行う、「ターミナルケア」と差別化するために、「看取り介護」という言葉が創られた。当初ターミナルケアを直訳して、「終末期介護加算」などが検討されたが、「終末」という言葉を使いたくないという関係者の意見もあって、日本語に古くから存在する、「看取り」(本来これは、看護するという意味で、必ずしも終末期介護を意味する言葉ではない。)という言葉に、介護という言葉をつけて創設した「新語」が「看取り介護」なのである。
その新名称が良いかどうかは評価が分かれるところであると思うが、今では「看取り介護」という言葉は、以前からあったかのように錯覚させられるほど、介護現場に浸透した言葉になった。
繰り返すが、看取り介護は終末期ケアのため行為と限定して考えるべきものではないということ。その実践が、たまたま誰かの終末期という時期の支援行為であったとしても、それは日常介護の延長線上にあるもので、日常介護の方法と全く変わるものではないし、高齢者の方々がいつか暮らしの場で、旅立ちの時を迎えるのも、日常の光景の一つに過ぎないと思う。
支える介護実践とは、日常の暮らしそのものを支える介護実践という意味で、終末期の介護を意味する、「看取り介護」という言葉ではなく、看護全般(それは通常、介護も含んだ行為)を意味する「看取り」という言葉であるということを今一度考えてほしいと思う。