Allo介護の不思議な世界

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厚生労働省が発表した新型コロナウイルスによる、感染症の蔓延防止策

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通所介護事業所の休止が求められたり、自主的に休止したりする地域が増えているが、その際の特例について厚労省は、通知文やQ&Aを発出している。



介護保険最新情報vol.769にて、『新型コロナウイルス感染症への対応等により一時的に人員基準を満 たすことができなくなる場合等については、「新型コロナウイルス感染症に係 る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて」 令和2年2 月 17 日厚生労働省老健局総務課認知症施策推進室ほか連名事務連絡等によ り柔軟な取扱いが可能とされているので、同事務連絡を参照されたい。 』として、この影響で一時的に配置基準が満たされなくなった場合でも、減算対象にはならないことを示している。



より具体的な特例対応については、介護保険最新情報vol.770で次のように示している。



・休業となった事業所と異なる事業所、公民館等の場所を使用して、当該事業所が指定を受けたサービスに相当するサービスを提供した場合



【算定方法 】
通常提供しているサービス費と同様に、サービス提供時間等に応じ介護報酬を算定すること



なお介護保険最新情報Vol.779によれば、「公民館等」とは、「一定の広さを確保でき、安全面や衛生面の観点からサービスを提供するにあ たって差し支えない場所を指す。なお、サービスの提供にあたっては、都道府県、 保健所を設置する市又は特別区と相談し、また利用者の意向を踏まえて実施されたい。 」とされているところなので、行政担当課に相談したうえで、柔軟に対応してもらいたい。



もう一点、この通知では次のような特例が示されている。



2. 居宅で生活している利用者に対して、利用者からの連絡を受ける体制を整えた上で、居宅を訪問し、個別サービス計画の内容を踏まえ、できる限りのサービ スを提供した場合



【算定方法】
(通所系サービスの場合)
提供したサービス時間の区分に対応した報酬区分(通所系サービスの報酬区分)を算定する。 ただし、サービス提供時間が短時間(通所介護であれば2時間未満、通所リハ であれば1時間未満)の場合は、それぞれのサービスの最短時間の報酬区分(通 所介護であれば2時間以上3時間未満、通所リハであれば1時間以上2時間未満 の報酬区分)で算定する。 なお、当該利用者に通常提供しているサービスに対応し、1日に複数回の訪問を行い、サービスを提供する場合には、それぞれのサービス提供時間に応じた報酬区分を算定できるものとするが、1日に算定できる報酬は居宅サービス計画書に位置付けられた提供時間に相当する報酬を上限とし、その場合は、居宅介護サ ービス計画書に位置付けられた提供時間に対応した報酬区分で算定する。



なお、居宅サービス計画書に基づいて通常提供しているサービスが提供されていた場合に算定できていた加算・減算については、引き続き、加算・減算を行うものとする。ただし、その他新型コロナウイルス感染症の患者等への対応等により、一時的に算定基準を満たすことができなくなる場合等については、 「令和元年台風第19号に伴う災害における介護報酬等の取扱いについて」 における取扱いに準じる。



この部分での要点整理としては、通所介護で行っているサービスに準じたケアを、通所介護の職員が自宅を訪問して行うことで、通所介護費を算定できるということだ。その内容は通所介護と同様とは限らないので、例えば通所介護で食事介助や排泄介助・入浴支援などが必要な人に対して、自宅でそれと同様とみなすことができるサービスを行った場合、「訪問介護費」ではなく、「通所介護費」を算定してよい。



その際、算定区分は2時間未満の単位が最低算定単位となるが、複数回訪問してサービス提供する場合、2時間未満×訪問回数とする場合もあるし、サービス提供時間に応じた算定区分+複数回ごとの算定区分とする場合もあるが、その場合も算定単位の上限は、「居宅介護サ ービス計画書に位置付けられた提供時間に対応した報酬区分」となる。



この部分については、要するにこの特例前からの加算・減算はそのまま特例算定時にも引き継がれるということと、この特例であらたに人員欠如減算などに該当することはない。



これに関連して介護保険最新情報Vol.779では、次のような関連Q&Aが掲載されている。



問1 令和2年2月24日付事務連絡「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて(第2報)」で示された取扱いは、都道府県等からの休業の要請を受けて休業している場合に加えて、感染拡大防止の観点から介護サービス事業所(デイサービス等)が自主的に休業した場合も同様の取扱いを可能としているが、同じく感染拡大防止の観点から、利用者の希望に応じて、
1.通所サービスの事業所におけるサービス提供と、
2.当該通所サービスの事業所の職員による利用者の居宅への訪問によるサービス提供の両方を行うこととし、これら1.2のサービスを適宜組み合わせて実施する場合も、同様の取扱いが可能か。



(答)可能である。



問2 問1の取扱いが可能である場合、事業所におけるサービス提供と居宅への訪問によるサービス提供を組み合わせて実施することにより、人員基準が満たされなくなる場合も考えられるが、そのような場合であっても、減算を適用しなくとも差し支えないか。



(答)差し支えない。



このように訪問介護と自宅における通所介護相当のサービスを、柔軟に組み入れてサービス提供してよい。ここで特に注目すべきは次のQ&Aである。



問7 通所介護等の利用が出来なくなった発熱等の症状のある利用者に対する訪問介護の提供増加や職員の発熱等により、人員基準上の必要な資格を持った人員が確保出来ない場合、基準違反となるのか。



(答)基本的には、介護支援専門員が調整のうえ、有資格者を派遣する事のできる訪問介護事業所からサービス提供されることが望ましいが、令和2年2月17日付事務連絡「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて」別添1(7)で示しているとおり、指定等基準を満たすことが出来なくなった場合であっても、それが一時的なものであり、かつ利用者の処遇に配慮したものであれば、柔軟な対応をして差し支えないものであり、その際、訪問介護員の資格のない者であっても、他の事業所等で高齢者へのサービス提供に従事した事がある者であり、利用者へのサービス提供に支障がないと認められる者であれば、訪問介護員として従事することとして差し支えない。



このように休業した通所介護の職員を、併設の訪問介護の臨時的職員として、利用者宅に派遣し、訪問介護サービスを行い、通常の訪問介護費を算定できるというのである。しかもその場合、通所介護の経験があれば、「他の事業所等で高齢者へのサービス提供に従事した事がある者」に該当するため、ヘルパー2級や初任者研修終了という訪問介護員の資格がなくとも特例的に訪問介護費を通常算定できる。



この特例は代替サービスとして非常に重要と思えるので、ぜひ活用してほしい。



なお通所介護の休止に伴い、新たに特例の訪問介護サービスを代替サービスとして利用する場合は、居宅サービス計画の変更が必要で、かつ軽微変更に当たらないために、サービス担当者会議等の一連の過程は必要である。しかしこの場合でも老企25号規定の、「緊急的なサービス利用等やむを得ない場合や、効果的・効率的に行うことを前提とするものであれば、 業務の順序について拘束するものではない。ただし、その場合にあっても、それぞれ位置付けられた個々の業務は、事後的に 可及的速やかに実施し、その結果に基づいて必要に応じて居宅サービス計画を見直すなど、適切に対応しなければならない」を活用して、サービス担当者会議を後回しにすることなどは認められる。



一方、通所介護を休止した事業所の職員が、利用者の居宅で同様のサービスを行い、「通所介護費」を算定できるという特例は、もともとの居宅サービス計画に基づくサービス提供なので、居宅サービス計画書の変更は必要ないものと思われる。



これらの特例ルールを柔軟に組み合わせて、利用者のデメリットを最小限にとどめる配慮が、介護サービス求められるし、今こうした時期だからこそ、そうした配慮ができる事業所が、地域から信頼できる事業所として認められることになるのではないだろうか。



絶対やってはいけないことは、行政から休止を求められていない地域で、事業所判断で勝手に通所サービスを休止すること。それは「通所サービス事業者の矜持と責任が問われる時」で指摘している問題にとどまらず、自主的休業は休業補償されないので、事業経営上も危機につながりかねない。将来にわたって禍根を残すこととは、「あの事業所は事業者の都合優先で利用者を見放す」「事業所都合優先でいつ休むかわからないところ」という評判が立って、ケアマネや利用者からそっぽを向かれ、事業経営にとって負の遺産となる。